神道の葬儀は、日本の伝統的な宗教である神道に
基づいた儀式で、仏教式の葬儀とは異なる特徴を
持っています。神道の葬儀は「神葬祭」
(しんそうさい)とも呼ばれ、以下のような
儀式や意義があります。
1. **儀式の目的と意義**
– 神道の葬儀は、故人の魂を慰め、霊が祖先の
神々として安らかに祀られることを願うものです。
神道では、死を「穢れ(けがれ)」と捉えますが、
同時に故人の魂は祖霊として尊ばれる存在となる
ため、適切な儀式を通じて清めと祀りが行われ
ます。
2. **主な儀式の流れ**
1. **通夜祭(つやさい)**
– 通夜祭は、仏教の通夜に相当する儀式で、
故人の魂を慰めるために行われます。遺族や
参列者が集まり、神職(しんしょく)が祝詞
(のりと)を奏上して故人の霊を鎮めます。
2. **葬場祭(そうじょうさい)**
– 葬場祭は、葬儀当日に行われる主要な儀式
です。神職が祝詞を読み上げ、玉串(たまぐし)
を捧げて故人の霊を祀ります。遺族や参列者も
玉串奉奠(たまぐしほうてん)を行い、故人への
敬意を示します。
3. **出棺祭(しゅっかんさい)**
– 出棺の際に行われる儀式で、霊を
霊車(れいしゃ)に乗せて葬送することを
祈ります。出棺祭では、故人が安全に新しい
場所へ向かうよう祈念されます。
4. **火葬祭(かそうさい)**
– 火葬前に行われる儀式で、故人の魂が
清らかに新しい場所へ旅立つことを祈ります。
火葬自体は仏教と同様に行われますが、その前後に
神道独自の儀式が行われます。
5. **埋葬祭(まいそうさい)**
– 火葬後、遺骨を墓地や祖霊舎(それいしゃ)
に埋葬する際に行われる儀式です。故人の霊が
安らかに祖先神の仲間入りをすることを祈ります。
6. **帰家祭(きかさい)**
– 葬儀が終わり、遺族が帰宅後に行う儀式で、
家に戻ってきた霊を祀ります。これによって家族の
霊的な穢れを清め、再び日常生活に戻る準備を
します。
### 3. **神道特有の要素**
– **穢れの浄化:** 神道の葬儀では、穢れを
清めることが重要視されます。参列者は、手水
(ちょうず)を使って手や口を清める儀式や、
塩を使った清めが行われます。
– **祖霊信仰:** 神道では、亡くなった人の魂が
祖霊となり、家族や地域を守護する存在になると
考えられています。そのため、葬儀を通じて
故人の魂を祖霊として迎え入れることが重要です。
### 4. **喪中と忌中**
– **忌中(きちゅう)**は、神道では死による
穢れを避けるため、一定期間(通常は50日間)
神社への参拝を控える時期です。**喪中
(もちゅう)**はその後、1年間続き、祝い事や
祭りを控える期間となります。
神道の葬儀は、故人の霊を清らかに送り出し、
祖霊として祀ることを目的とした厳かな儀式です。
日本の伝統的な宗教観に根ざしたこの儀式は、
死を通じて生と霊を尊重する神道の教えを
反映しています。
感謝。