ご葬儀や法要の際、「お布施(おふせ)」を
お渡しする場面があります。
これは僧侶に対する“お礼”や“謝礼”と理解され
がちですが、本来の「お布施」には、もっと深い
仏教的な意味があります。
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【1. お布施とは“施しの心”を表す仏教用語】
お布施は、仏教の修行のひとつ「六波羅蜜
(ろっぱらみつ)」の中の一つで、正式には
「布施(ふせ)」といいます。
→ 意味は、「見返りを求めず、人に施すこと」。
これは、お金に限らず、
• 笑顔を与える
• 優しい言葉をかける
• 困っている人を助ける
など、思いやりを持って“分け与える”すべての
行為が「布施」です。
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【2. 金額ではなく“心を差し出す”ことが本質】
お布施を渡すとき、「いくら包めばいいのか?」
「少なくて失礼ではないか?」と悩まれる方も
多いですが、→ 本来、お布施は**“感謝の気持ち
を形にしたもの”**であり、金額の多寡で価値が
決まるものではありません。
故人のために読経し、供養してくださる僧侶に
対し、「どうぞ、よろしくお願いいたします」と
いう感謝と敬意を込めた行為なのです。
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【3. 僧侶も“受け取る修行”をしている】
お布施は「施す側」と「受ける側」の双方が行う
仏道修行でもあります。
• 渡す側:欲や執着を離れ、感謝の気持ちを
形にする修行
• 受け取る側:それを“ありがたく受け取る”
修行→ つまり、「お布施」は単なる“お金の
やり取り”ではなく、人と人との心のやり取り
でもあるのです。
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【4. お布施に“相場”があるのはなぜ?】
現代では、お布施にも一定の“相場感”が存在して
います。
これは、
• 寺院の維持や活動を支えるため
• 僧侶への移動や時間への配慮
といった現実的な側面から成り立ったものであり、
決して「料金」や「対価」として提示されている
ものではありません。
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【まとめ】
お布施とは、
「お金を渡す行為」ではなく、「感謝を届ける
行為」。
心からのありがとうを、そっと封筒に込めて
届ける。
それが、葬儀や法要の場における美しい日本の
文化です。
形式にとらわれすぎず、“心をこめること”を
大切にしていきたいですね。

感謝。