【香典辞退の本音と現実】「預かってきた香典」
をどう扱うかという難題
最近では「香典辞退」の形式を選ぶご遺族が
増えてきました。
理由は様々で、「気を遣わせたくない」「お返し
が大変」「家族だけで静かに送りたい」など、
現代ならではの価値観が反映されています。
しかし一方で、香典辞退を伝えても、**「〇〇
さんから預かってきました」**と香典を手渡さ
れる場面が少なくありません。
今日はそんな「辞退の意思」と「渡す側の思い」
がすれ違う場面について考えてみたいと思います。
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■ 香典辞退とは?
「香典辞退」とは、「お気持ちだけで十分です
ので、金銭はご遠慮ください」という意思表示
です。
最近では、訃報連絡の際に「ご香典・ご供花・
お供物の儀は固くご辞退申し上げます」と一文を
添えるケースも多くなりました。
ところが実際には…
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■ 「預かってきたので渡さないと…」という
責任感
香典を渡す方が高齢者であったり、地元の
しきたりを大切にされる方であればあるほど、
「本人が来られないから代わりに持ってきた。
受け取ってもらわないと困る」
という感覚をお持ちです。
預けた側にしても「ちゃんと渡してくれたかな?」
と確認される可能性がありますし、断られると
預かった人が気まずい立場になってしまうのです。
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■ 受け取ること=辞退の否定ではない
こうした事情を踏まえると、香典辞退をしていた
としても、**「お預かりのものだけは丁重に
受け取る」**という柔軟な対応が現実的です。
もちろん、基本姿勢としては「辞退」なのですが、
•「〇〇様からのお気持ち、ありがたく頂戴いたし
ます」
•「ご丁寧にお運びいただき、ありがとうござい
ました」
といった言葉を添えて受け取れば、相手の気持ち
も立てつつ、葬儀の空気を和らげることができ
ます。
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■ お返しはどうする?
「辞退」していたにもかかわらず香典を受け取った
場合、お返し(香典返し)をどうするかも悩み
どころです。
おすすめの対応は以下の通りです。
1.「受け取ったものには返礼する」方針を貫く
→ 葬儀後に、香典返しの品をお届けしましょう。
2.「辞退したことを再確認する」一筆を添える
→ 例えば、「本来はご辞退申し上げておりました
が、ご厚意に深く感謝申し上げます」といった
手紙を添えると誤解も防げます。
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■ トラブルを防ぐ事前対策
•訃報の連絡時に「辞退の旨」をはっきりと伝える
→ 「本当に一切いただいておりませんので」と
念を押す。
•会場に「香典辞退」の表示を用意しておく
→ 張り紙や受付の係の案内で補足。
•受付は設けず、祭壇横にご芳名カードを置く
→ 現金授受の雰囲気を自然に無くします。
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■ まとめ:大切なのは「気持ちの整理」と「相手
への敬意」
香典を辞退するという選択は、遺族側の事情や
思いを尊重した形ですが、相手もまた「故人への
気持ち」を託してくれているのです。
そのすれ違いがトラブルにならないように、
状況に応じた柔軟な対応が必要です。
香典は「義務」ではありませんが、気持ちの
「表現」であることも忘れずに。
「断ること」と「無下にすること」は違います。
互いの心を尊重する、そんなお別れの時間で
あってほしいと願っています。

感謝。