1. 忘れられない守衛のおじさんとの出会い
私の故郷では、伯父や伯母の葬儀はすべて、
ある大手の葬祭会館で行われました。
担当者やスタッフ、司会者は、そつなく、
きちんと仕事をこなしていました。
同業者として見ても、式全体の進行は普通でした。
けれど、私達の心に一番残っているのは、夜間に
会館を守っていた守衛のおじさんでした。
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2. 真夜中の心遣い
通夜の夜、社員やスタッフが帰ったあとも、
守衛さんは会館に残っていました。
私たち親族は、久しぶりの再会もあって夜遅く
まで語り合っていました。
そんな中、守衛さんは真夜中にも関わらず、
笑顔でこう声をかけてくれたのです。
「ビールはまだありますか?」
「何か足りないものはないですか?」
形式的な言葉ではなく、嫌な顔一つせず、
本当に心から気遣ってくれていることが
伝わってきました。
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3. 親族の感想と意外な事実
翌日、親族に感想を聞くと、みんな口をそろえて
「あの社員さん、感じが良かったね。ここに
お願いして本当に良かった」と言っていました。
でも実は、その方は社員ではなく、ただの
守衛さん。
同業者の私だけは分かりましたが、一般の
参列者や親族には、そんな肩書きの違いなど
関係ありません。
感じの良い対応をしてくれた人こそ、その会館の
顔になるのだと改めて感じました。
私の感想は「ここは守衛のおじさんで成り立って
いる葬祭会館。しかし、その事実に誰も気付いて
いない。守衛のおじさんが最高のおくりびと」
でした。
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4. トワに生きている学び
この経験は、私の中で今も大きな教訓になって
います。
トワでは必ず、スタッフが通夜の夜は会館に
宿泊して、お客様のご要望にお応えするように
しています。
大手葬儀社様から学んだことは、守衛のおじさん
の親切でした。
それは、お客様に接する全ての人が会社の代表で
あるということ。
肩書きや役職ではなく、「どんな立場であっても
心のこもった対応ができるか」が、その会社の
印象を決めます。
トワでも、社員やアルバイト、業務委託の方まで
含めて、すべてのスタッフが「その場でお客様に
寄り添える人」であるよう努めています。
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5. まとめ
葬儀は、故人と過ごす最後の時間。
進行や儀式も大切ですが、それ以上に、そこで
出会う人の温かさが心に残ります。
あの守衛のおじさんのように、立場を超えて心を寄せる
姿勢こそが、何よりのサービスだと思います。

感謝。