葬儀やご供養の場でよく耳にする言葉の一つに
「分骨は良くないのでは?」というご質問が
あります。
大切な方のお骨を複数に分けることに、どこか
ためらいや不安を感じられる方も少なく
ありません。
しかし、現実を見つめてみると、分骨という
行為は決して特別なものではなく、むしろ
自然に行われていることが多いのです。
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火葬場での現実
火葬が終わった後、ご遺族は「収骨(お骨上げ)」
を行います。
このとき、すべてのお骨を拾い上げて持ち帰る
わけではありません。
実際には、火葬炉に残ったお骨の一部は
収骨されず、そのまま火葬場が管理する
**市町村の合同墓(納骨先)**に埋葬される
仕組みになっています。
つまり、私たちが気づかないうちに、**火葬場の
時点でお骨は分けられている(=分骨されている)
**のです。
分骨は「悪いこと」「いけないこと」では
ありません。
むしろ、お骨を分けて複数の場所に納める
ことで、
•離れて暮らす家族それぞれが手を合わせられる
•菩提寺と霊園、両方にご供養できる
•故郷と現住所、両方で想いをつなぐことが
できる
といった、ご家族の心を支える役割を果たす
ことが多いのです。
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大切なのは「気持ち」
ご先祖や大切な方が望まれているのは、形式では
なく、ご家族の真心のこもったご供養だと
思います。
「分けてはいけない」と思い込んで悩まれる
よりも、どのようにすればご家族皆が安心して
供養できるかを考えることが大切ではない
でしょうか。
分骨は決して特別なことではありません。
大切なのは「どう分けるか」ではなく、
「どのような想いでお祈りするか」。
その気持ちこそが、故人にとって一番の供養に
なると信じています。

感謝。