お別れの時、ご兄弟が静かに言われました。
「親父とおふくろに、よろしく伝えてくれの。
わしもそのうち逝くからの。待っとてくれよ。
ありがとうの。」
その言葉に、会場の空気がふっとやわらぎ
ました。
悲しみの中にも、確かに“絆”があり、“感謝”が
ありました。
お別れとは、さよならではなく、「また会おう」
の約束のようなものかもしれません。
人はいつか旅立ちます。
でも、心の中でつながっている限り、本当の
別れは来ないのだと思います。
「ありがとうの。」
その一言に、長い人生の優しさと誇りが
詰まっていました。

感謝。