お葬式のごあいさつの中で、喪主様が力強く、
そして涙をこらえながらこうお話しされました。
「あんな事や、こんな事をもっとしてあげれば
良かった!なんて後悔は全くありません。
きっと喜んでくれていると思います。」
その言葉には、深い愛情と感謝、そして覚悟の
ようなものを感じました。
私もその喪主様をよく存じ上げていますが、
普段からご家族やまわりの方をとても大切に
されておられる方です。
ごあいさつを拝聴しながら、「まさにその通り
だな」と心から思いました。
後悔のないお別れができるのは、日々の暮らしの
中で「今は亡き方」を大切に、思いやりを
持って接してこられたからこそ。
お元気なうちから、すでにその方を心の中で
大事にしておられたのだと思います。
お葬式を通して、あらためてその大切さを教えて
いただきました。
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本当の「因果応報」とは
「因果応報」という言葉があります。
良い行いをすれば良い報いがあり、悪い行いを
すれば悪い報いがある。
そう聞くと「報い」を期待して善いことをする
ように思われがちですが、私はそうではないと
思います。
自然に湧き出てくる優しさや、思いやりこそが
本当の「因果応報」ではないでしょうか。
見返りを求めず、ただ純粋に誰かを思いやる
気持ち。
その行いこそが、いつか自分が見送られる
立場になったとき、安らかに最期を迎えられる
ための何より大切な心の準備なのだと感じました。
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終わりに
お葬式は、悲しみの中にも学びや気づきが
あります。
「後悔しないお別れ」を実現できた喪主様の
姿を通して、私自身も改めて、人を想う優しさ
の大切さを胸に刻みました。

感謝。