子どもの頃、夢を描くのは誰にでもできる。
しかし、それを「信じ続ける」ことは、誰にでも
できることではありません。
昔、ひとりの少年がいました。
彼の夢は、メジャーリーガーになってヤンキー
スタジアムでプレーすること。
幼い頃からバットを握り、毎日ボールを
追いかけていました。
やがて大人になった彼は、セントラル・
カージナルスとフィラデルフィア・
アスレチックスの入団試験を受けます。
しかし、どちらにも採用されませんでした。
それでも彼はあきらめません。
マイナーリーグでプレーを続け、
打率3割8分1厘という驚異的な成績を
残します。
それでも夢の舞台には届かない——
誰もがそう思ったその時、戦争が始まり、
多くのメジャーリーガーが兵役に出ました。
そして、ついに彼にチャンスが訪れます。
セントルイス・ブラウンズと契約。
長年追い続けた夢のヤンキースタジアムの
バッターボックスに、彼は立ちました。
その瞬間、スタジアム中の観客が立ち上がり、
スタンディングオーベーション。
初打席は三振でした。
しかし、誰一人、失望する観客はいません
でした。
なぜなら、彼は6歳の時に事故で片腕を失って
いたのです。
それでも、片腕で野球を続け、努力を積み重ね、
ついにメジャーリーガーになった男。
その名は——
ピート・グレイ。伝説のメジャーリーガー。
彼の姿に、観客は涙しました。
誰もが心の中でこう思ったに違いありません。
「夢は、あきらめない限り、必ず叶う。」
三振でもいい。
結果よりも、そこに至るまでの努力と信念
こそが、人の心を動かすのです。
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私たちも人生の中で、何度も三振することが
あります。
それでも、バットを握り続けること。
それが「生きる」ということなのかもしれません。
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ピート・グレイの言葉
“I’ve been lucky. I’ve had a good life.
The game of baseball has been good to me.”
(私は幸運だった。いい人生を送れた。野球は
私にとって素晴らしいものだった。)

感謝。