最近、「103万円の壁の撤廃」「減税」
「政治家の無駄遣いをなくせ」——
そんな言葉がメディアでもSNSでも飛び交う
ようになりました。
確かに、今の世の中は多くの人が苦しく、
生活のゆとりも、心の余裕も、どこか失われ
つつあるように感じます。
しかし私は専門家ではありませんが、
**40年近く前、バブル真っ只中の日本で
感じていた“豊かさ”**をふと思い出します。
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■ みんな豊かだったから、問題視さえ
しなかった
当時、普通に働いているだけで、
生活に困る人は今ほど多くありませんでした。
街は夜遅くまで明るく、
お店も人も元気で、
商店街にも活気があり、
「明日は今日より良くなる」と誰もが信じて
いました。
誰も103万円の壁なんて気にもしていない。
減税だの無駄遣いだの、政治の細かい話に
興味を持つ人も少なかった。
なぜか?
それは――
“みんなが豊かだったから”です。
不安がない、希望がある、お金だけでなく
心にも余裕がある。
だからこそ、壁がどうとか、税制がどうとか、
そんなものに関心を向ける必要性すら感じ
なかったのです。
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■ 「苦しいから問題が表面化する」という現実
今、人々が税や制度の話に敏感になっているのは、
その制度が悪いからではありません。
本当の原因は、国民の“豊かさ”が薄れてしまった
こと。
生活がギリギリだから壁が気になる。
毎月の支払が重いから減税の話題が刺さる。
未来が見えないから政治家の無駄遣いに
腹が立つ。
つまり――
今の議論は“症状”であって“根本原因”ではない。
根本原因は、
「働いても豊かになれない社会になって
しまった」
この一点に尽きます。
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■ 何を変えれば、社会は再び豊かになるのか
私は専門家ではない。
しかし経営者として、19年間ずっと現場で人々
と接し、家庭の事情や生活環境も数えきれない
ほど見てきました。
そこで強く感じるのは――
税金の細かい議論より、まず“稼げる社会”を
つくること。
制度の抜け穴より、“安心して働ける環境”
を整えること。
壁の撤廃より、“努力が報われる仕組み”を
取り戻すこと。
これがなければ、どれだけ減税しても、
103万円の壁を潰しても、一時的にラクになる
だけで、根本は変わりません。
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■ 結局、豊かさの原点は「人」
バブルの頃の日本が豊かだったのは、
単にお金があったからではありません。
みんなが前を向き、
みんなが夢を持ち、
みんなが明日を信じていた。
その“空気”自体が価値でした。
今、必要なのは数字の議論だけではなく、
もう一度、社会全体が前を向ける空気をつくる
こと。
政治でも行政でもなく、
私たちひとり一人の働き方、考え方、価値観。
そして企業のあり方。
その積み重ねが豊かさを取り戻す唯一の道だと
思っています。
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■ 最後に——「豊かさ」は政策ではつくれない
政策はきっかけにはなっても、
本当の豊かさは制度では生まれません。
それは“国民全体の力”がつくるもの。
昔の日本が豊かだったのは、
誰もが「自分の人生は自分で切り開く」という
強い気持ちを持っていたから。
今こそ、
人と社会の“本来の力”を取り戻す時期に来て
いるのかもしれません。

感謝。