昔は、「お墓は守るもの」
「子や孫が代々受け継いでいくもの」
と教育されてきました。
お彼岸やお盆には家族そろって墓参り。
お墓を守ることは“家を守ること”そのもので
あり、日本の伝統の象徴のようでもありました。
しかし、今その価値観が静かに、大きく
変わってきています。
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負担になってしまう“守る”という文化
人口が都市へ移動し、家族は離れ離れになり、
核家族が当たり前になってきた現代。
地方にある先祖代々のお墓は、「守るべきもの」
から「守りきれないもの」へと変わりつつ
あります。
・遠方でお墓参りができない
・跡取りがいない
・費用負担が大きい
・墓じまいの方が現実的になった
・永代供養や樹木葬を選ぶ人が増えた
こうした変化は、誰かが悪いわけでは
ありません。
社会構造そのものが、昔のように“家単位で
供養を続けること”を前提にしていないのです。
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「供養の本質」を見失わないことが大切
供養とは、本来とてもシンプルな気持ちです。
「ありがとう」
「忘れないよ」
「今日も見守ってね」
その気持ちがあれば、形はどんなものであって
もいい。
お墓の前で手を合わせても、自宅で静かに写真に
語りかけても、心の中でそっと思い出してもいい。
大切なのは形式ではなく、“思い続けること”
です。
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時代とともに変わる供養の選択肢
今は、お墓だけが供養の形ではありません。
・永代供養
・合同供養
・樹木葬
・海洋散骨
・手元供養(小さな骨壺やペンダント)
・デジタル供養や思い出アルバム
選べる形はどんどん増えています。
どれが正しいというものではなく、「その家族に
とって自然な選択」
でいいのだと思います。
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守れなくなったから“悪い”のではない
墓じまいをしても、供養の形を変えても、
ご先祖様を粗末にすることにはなりません。
むしろ、無理をして誰かの負担になってしまう
ほうが、ご先祖様は望んでいないはずです。
家族が笑顔で、無理なく続けられる形を選ぶ
こと。
それが、現代における“正しい供養のあり方”
なのかもしれません。

感謝。