12月を表す「師走(しわす)」。
今の時代でも当たり前のように使われて
いますが、その語源にはいくつもの説があり、
日本人が古くから年末の空気をどのように
感じてきたのかがよく分かります。
今日は、その「師走」の由来を少し丁寧に
紐解いてみたいと思います。
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1.僧侶も先生も、走り回るほど忙しい月
もっとも有名なのが、「師馳月(しはせつき)」
が元になったという説です。
ここでいう「師」とは、僧侶(法師)や寺子屋の
先生のこと。
年末になると、僧侶は各家庭をまわって読経を
したり、仏名会(ぶつみょうえ)という供養の
法要を行ったり、大忙しになります。
普段は落ち着いている「師」までもが走り回る
ほどの慌ただしさ。
その姿から「師馳月」と呼ばれ、それが
転じて「しはす」となったと言われています。
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2.「年果つ」── 1年が終わるという意味から
「年果つ(としはつ)」という、“年が終わる”
という意味の言葉が語源という説もあります。
この「としはつ」が変化し、音の流れから
「しはす」と呼ばれるようになり、後に意味を
合わせるために「師走」という当て字が
使われるようになったと言われています。
年末の空気にぴったりの、静かな余韻を感じる
語源です。
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3.「為果つ」── 万事をやり終える月
年の締めくくりとして、“すべてのことを
為し終える”という意味をもつ「為果つ
(しはつ)」が変化したという説もあります。
一区切りつけて、新しい年を迎える準備をする。
昔の人々が、年の終わりをどれほど大切にして
いたのかが伝わる美しい語源です。
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4.「四極月」── 四季の終わりの月
一年の四季の終わり、つまり 「四極(しはつ)」
を意味する言葉が元になったという説もあります。
春夏秋冬の締めくくり。
それぞれの季節を乗り越えて、無事に一年を
終える喜びと、静けさが感じられる説です。
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◆ 師走の意味は、昔も今も変わらない
どの語源も、共通しているのは
「一年の終わりを大切にしていた日本人の心」
だと思います。
現代の私たちも、12月になると自然と慌ただしく
なったり、気持ちが引き締まったりします。
忙しさの中にも、ふと立ち止まって一年を
振り返る大切な時間がある。
まさに師走らしさですね。
今年も残りわずか。
慌ただしい日々の中でも、どこかで一度、
深呼吸できる時間がありますように。
今日も一日、ありがとうございます。

感謝。