親御さんやご家族のご法要についてご相談を
受ける中で、「50回忌ってどういう意味が
あるのですか?」
というご質問をいただくことがあります。
33回忌までは耳なじみがあるものの、50回忌と
なると経験される方は多くありません。
今日は、この 50回忌が持つ意味と背景 を、
少し分かりやすくお伝えしたいと思います。
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1.そもそも「50回忌」を迎えるとはどういう
ことか
50回忌は、故人がお亡くなりになってから
満49年目に営む法要です。
つまり――
“故人が亡くなってから、子や孫が49年間
供養を続けてきた”という大変長い時間の
積み重ねを意味します。
◆ 施主の年齢から見た50回忌
実は、50回忌を施主として迎えるためには、
ご家族の中でいくつかの条件が重ならなければ
なりません。
(1) 若くして親を亡くしたケース
例えば、親御さんが20歳という若さで亡くなり、
その時お子様が5歳だったとします。
そのお子様が50回忌を迎える頃の年齢は、
5歳 + 49年 = 54歳
十分に施主として務められる年齢です。
つまり、“故人が比較的若くして亡くなった場合、
子が50回忌を迎えることが可能”ということに
なります。
(2) 子が非常に長寿の場合
一方で、親御さんが90歳で亡くなり、その時
お子様が70歳だった場合……
50回忌時のお子様の年齢は
70歳 + 49年 = 119歳
現実には、ここまで長生きされる方はほとんど
いません。
したがって、50回忌を迎えることができる
ご家庭は、実は限られているという側面が
あります。
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2.なぜ50回忌は「お祝い」の意味を持つのか
50回忌というと「大きな法要」というイメージを
持たれる方も多いかもしれませんが、実はその
背景には、少し“慶び”の意味が込められています。
◆ 50回忌は「弔い上げ」
長い年月の供養を経て、故人は個としての
存在から、家系を見守る「ご先祖様」へと
昇華すると考えられます。
ここまで供養を重ねてこられたということは、
• 子孫が絶えることなく続いている
• 家が代々守られてきた
• 故人が長く家族を支えてきた
という証です。
だからこそ、50回忌はただの追悼ではなく、
“ここまで供養を続けてこられたことを皆で寿ぐ”
そんな慶事的な意味合いが加わるのです。
地域によっては紅白の水引を用いるなど、
一般の法要とは少し雰囲気が異なることも
あります。
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3.弔い上げは33回忌?それとも50回忌?
現代では、多くのご家庭が 33回忌で弔い上げ を
されます。
•33年が経つと故人の魂が成仏すると
考えられている
•遺族が高齢になり、これ以上の年忌を続ける
のが難しい
といった理由が背景にあります。
一方で、ご先祖をより丁寧に供養されたい
ご家庭では、50回忌まで続けることもあります。
また、神道の「五十年祭」に影響を受けて、
仏教でも50回忌を区切りとする地域があります。
つまり、どちらが正しいということではなく、
ご家族の想いや伝統が大切ということです。
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◆ 50回忌は、ご家族の歩んできた歴史の証
49年間供養を続けるというのは、本当に尊い
ことです。
その間、家族にさまざまな出来事があった
はずです。
悲しみもあった、喜びもあった。
それでも、ご先祖を忘れず供養を続けてきた。
50回忌とは、故人を想い続けてきた家族の
歴史そのもの です。
こうした大切な節目をお手伝いできることは、
私たち葬儀の立場からしても、大変ありがたい
ことだと感じています。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとう
ございます。

感謝。