人生には「厄年」と呼ばれる年齢があります。
男性は42歳、女性は33歳が大厄とされ、神社や
お寺で厄払いをされる方も多くおられます。
しかし、葬儀の仕事を長くしていると感じる
ことがあります。
それは――
厄年だから不幸になるわけではない、という
ことです。
厄年は仏教の教えではなく、古くからの
民間信仰や陰陽道の考え方が元になっています。
昔の人は、人生の中で体調や環境が大きく変わる
年齢に注意を促すために、厄年という節目を
作りました。
男性の42歳は、働き盛りで責任が重くなる時期。
女性の33歳は、出産や体調の変化が多い時期。
つまり厄年とは「災いが来る年」ではなく
「無理をしやすい年だから気をつけなさい」と
いう人生の注意標識のようなものなのです。
仏教には「諸行無常」という言葉があります。
この世のすべては移り変わり、同じ状態は
続きません。
良い時もあれば、悪い時もある。
順調な年もあれば、苦しい年もある。
それは厄年だからではなく、人として生きて
いれば誰にでも起こることです。
葬儀の現場にいると、年齢に関係なく人は
亡くなります。
若くても旅立つ方もおられますし、百歳を
超えても元気な方もおられます。
だからこそ思うのです。
大切なのは厄年を恐れることではなく、今日を
大切に生きることだと。
厄払いをすることも良いことです。
それで心が落ち着くなら、それも一つの智慧です。
ですが本当の厄除けとは
体を大切にすること
人を大切にすること
今を大切にすること
その積み重ねではないでしょうか。
私たちの仕事は、人生の最後に立ち会う仕事です。
だからこそ強く思います。
人に与えられた時間には限りがあります。
厄年を気にして不安に過ごすよりも、今日と
いう一日を丁寧に生きること。
それが何よりの厄除けであり、何よりの
供養なのだと思います。

感謝。