「イワシの頭も信心から」ということわざを
ご存じでしょうか?
一見すると不思議な表現ですが、日本人の
信仰観や精神文化をよく表している、深い意味を
持つ言葉です。
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■ ことわざの意味とは?
「イワシの頭も信心から」とは、
どんなにつまらないものでも、信仰の対象として
信じれば有難く思えるという意味のことわざです。
昔、節分になると魔除けとして玄関先にヒイラギ
の枝とイワシの頭を飾る風習がありました。
イワシの匂いで鬼を遠ざけるという民間信仰に
基づいたものですが、「たかが魚の頭」と思う
人もいれば、「これは神聖な護符」と信じる人も
いたわけです。
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■ 「信じる心」が持つ力
このことわざが教えてくれるのは、「物そのもの
の価値」よりも「心の持ち方」が人の行動や
感情に与える影響の大きさです。
• 誰かにとってはただの石ころでも、信じて
拝めば心が落ち着く。
• 他人から見れば迷信でも、本人にとっては
精神的な支えになる。
つまり、「信じる」という行為そのものが、
人生を支える大きな力になっているのです。
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■ 現代にも通じる言葉
現代社会では、科学や合理性が重視されがち
ですが、それでも人は何かを「信じる」ことで
前向きになれたり、苦しい状況を乗り越えたり
します。
• 宗教に限らず、「家族」「仲間」「自分の夢」
などを信じる心もまた、現代の“信心”といえる
のではないでしょうか。
• 「イワシの頭」のように形あるものでも、
無形の想いや願いでも、信じる気持ちがあれば、
それはきっと誰かの救いになるのです。
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結びに
「イワシの頭も信心から」。
この言葉は、私たちに「何を信じるかは自由で
あり、信じる心そのものに価値がある」と教えて
くれます。周囲の価値観に流されるのではなく、
自分にとっての“心のよりどころ”を大切にする。
それが豊かな生き方の第一歩かもしれません。

感謝。