人の命も、季節の移ろいも、目の前の感情も、
すべてはとどまることなく変化していきます。
それを表す仏教の根本的な教えが「諸行無常
(しょぎょうむじょう)」です。
「すべてのものは常に変化し続け、決して同じ
状態にとどまることはない」
これは、仏教におけるこの世の真理であり、
私たちが人生のあらゆる場面でふと感じること
でもあります。
愛する人との別れに思うこと
葬儀の現場では、日々「無常」を感じます。
昨日までそこにいた人が、突然この世から
旅立ってしまう。
もう一度会いたくても、それは叶わない。
でも、「無常」を知ることで、私たちは今
この瞬間の大切さに気づくのです。
「いつまでもあると思うな親と金」――これは
諸行無常の真意を、わかりやすく伝える
言葉かもしれません。
無常は悲しみだけではない「無常」という言葉
には、どこか寂しさや儚さがつきまといますが、
実はそれだけではありません。
「悪いことも、必ず終わる」
「どんな苦しみも、永遠には続かない」
それもまた、無常の教えです。
病気も、喪失も、心の痛みも、時と共に和らぎ、
やがて形を変えていきます。
だからこそ、私たちは前に進むことができる
のです。
変わりゆくからこそ、美しい
桜が咲いては散り、夕日は沈んで夜が来る。
どんなに美しいものも、永遠ではない。
だからこそ、人はその一瞬を「美しい」と感じる
のではないでしょうか。
「諸行無常」は、ただの哲学や宗教の言葉では
なく今日という日を大切に生きるための
「気づき」なのです。

感謝。