先日のお通夜で、ご住職のご法話がとても
心に残りました。
「皆様へお坊さんから三つお願いがあります」
と、静かに語り始められました。
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一つ目のお願い
「故人に“ありがとう”と言ってあげて下さい」
“あなたがいたから、私たちがいる。今まで
本当にありがとう”と、感謝の言葉を伝えて
あげてください。
お通夜というのは、悲しみの中にも「感謝」を
伝える大切な時間なのだと改めて感じました。
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二つ目のお願い
「また会おうね、と言ってあげて下さい」
ここにいる皆さんも、早かれ遅かれいつか
必ず同じ道を歩みます。
だからこそ、“少し先に行って待っててね。
僕も、私も、いつか必ず行くからね”と声を
かけてあげてください。
その言葉には、別れの悲しみを超えた“つながり”
の温かさがありました。
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三つ目のお願い
「あなたのことを忘れないよ、と言ってあげて
下さい」
本当は百回忌まで勤めてあげたいけれど、
五十回忌も三十三回忌も勤められるか
わからない。
それでも、“私の命がある限り、あなたのことを
忘れないよ”と約束してあげてください。
この言葉を聞いた瞬間、会場全体が静まり返り、
涙をぬぐう方がたくさんおられました。
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 そしてご住職は最後に、「この三つを故人と
約束しながら、合掌、礼拝で通夜の儀を閉じ
させていただきます」と深く一礼されました。
合掌──礼拝。
その静寂の中で、誰もが心の中で“ありがとう”“
また会おうね”“忘れないよ”とつぶやいていた
ように思います。
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 お通夜は、別れの場でありながらも「感謝」
と「約束」の場。
その夜のご法話は、私自身の心にも深く刻まれ
ました。
ありがたいご法話に、心より感謝申し上げます。
合掌。

感謝。