私たちは、自分の親のお墓には、元気なうちは
自然と足が向きます。
しかしふと立ち止まってみると、こう考える
ことがあります。
「果たして次の世代、そのまた次の世代は、
このお墓をお参りしてくれるのだろうか?」
今は遠方に住むご家族も多く、仕事や家庭の
事情で、頻繁にお参りすることが難しい
時代になりました。
そのため近年では、永代供養、海洋散骨、
樹木葬、さらには宇宙葬まで、本当にさまざま
な供養のかたちが選べるようになりました。
昔は「お墓を守るのが当たり前」でしたが、
今では 「残された家族に負担をかけたくない」
というお考えが増え、お墓を建てない選択を
される方も多くなっています。
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私たちは葬儀の現場で長い年月を過ごす中で、
誰もお参りに来られなくなったお墓 を数え
きれないほど見てきました。
時代の流れとはいえ、その光景は胸が
締めつけられるような、なんとも言えない
切ない気持ちになります。
だからこそ、お墓を建てられるときには、
「次の世代が無理なくお参りできる条件か
どうか」ここを一度、立ち止まって考えて
いただきたいと思います。
車の運転ができなくなれば、坂道が多い場所や、
交通の便が悪い場所は、どうしても足が遠のいて
しまいます。
お参りが習慣になりにくい場所なのかどうか――
これも、後々大きな違いになってきます。
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しかし、ここで一番大切なことをお伝えすると
したら、供養の「形式」よりも、もっと大切な
ものがあります。
それは――
亡き方を想う気持ち。
ご先祖様を敬う気持ち。
この気持ちがある限り、どんな供養の形で
あっても、そこにはちゃんと “心” が通って
います。
お参りという行為は、亡き方に手を合わせ
ながら、「今日まで生きてこられたこと」
「家族が無事であること」
そのすべてに感謝を伝える、大切な習慣です。
形式が変わっても、お墓の形が変わっても、
未来の世代がご先祖様に感謝できる環境を
つくること。
それこそが、本当の供養ではないか と私たちは
考えています。

感謝。