私達人間は、いつか必ず「終焉の時」を迎えます。
その事実から逃れることは、誰にも出来ません。
どれほどの富を築いても、どれほどの地位を
得ても、その瞬間だけは、すべての人に平等に
訪れます。
それが「宿命」なのだと思います。
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何十年も前、私はある大本山を訪れ、僧侶の
お話を聞く機会がありました。
その時に耳にした言葉が、今も心に残っています。
「宿命は変えられないが、運命は変えられる」
生まれた場所、育った環境、巡り合わせた出来事。
それらは、ある意味で宿命なのかもしれません。
しかし、その環境の中でどう生きるかは、
自分次第。
たとえ貧しくても、たとえ不遇でも、真面目に、
誠実に、一生懸命に生きることで人生は必ず
変わっていく。
逆に、どれほど恵まれた環境に生まれても、
努力を怠り、人を責め、不平不満ばかりを口に
すれば、運命は静かに下降していく。
その時の私は、自分の人生に不満を抱えて
いました。
思うようにいかない現実に、周囲や環境のせいに
したくなる気持ちもありました。
しかし、その言葉に救われました。
「変えられないもの」に執着するのではなく、
「変えられるもの」に力を注ぐ。
宿命を嘆くのではなく、宿命に感謝し、運命を
切り拓く努力をする。
それこそが、悔いのない人生へと続く道なのだと。
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私達は日々、多くの「終焉」に立ち会わせて
いただいています。
その中で感じるのは、「どんな人生だったか」が
最後の空気に、静かに表れるということです。
誠実に生きた方の旅立ちは、どこか澄んでいます。
人を恨み続けた方の旅立ちは、どこか重たい
空気が残ります。
どちらも宿命ではありません。
それは、生き方という「運命」の積み重ねです。
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人はつい、不平や不満を抱き、責任を外に求めて
しまいます。
しかし、それでは運命は変わらない。
自分の人生を変えられるのは、他の誰でもなく、
自分だけ。
どんな境遇であっても、努力する可能性は、
すべての人に平等に与えられています。
それならば――
悔いの残らないように生きたい。
感謝を忘れずに生きたい。
最後の時に「これで良かった」と思える人生を
送りたい。
私達もまた、日々の小さな努力を積み重ねながら、
そんな人生を目指していきたいと思います。
終焉は変えられない。しかし、そこへ向かう道は、
今日も選ぶことが出来る。

感謝。