お別れの時間になると、ご家族からよく
聞かれることがあります。
「この人が好きだったものを棺に入れてもいい
ですか?」
故人が好きだったお菓子。
いつも着ていた洋服。
家族からの手紙。
孫が描いた絵。
思い出の写真。
一つひとつの品物には、その人と家族だけが
知っている思い出があります。
「これ、好きだったよね」そんな言葉を交わし
ながら、棺の中へそっと入れていく。
その時間を見ていると、品物を入れているので
はなく、家族の思い出を一緒に持たせてあげて
いるように感じることがあります。
中には、何を入れたらいいのか分からないと
いう方もいらっしゃいます。
無理に何かを用意する必要はありません。
一輪のお花でも、一枚の手紙でも、十分なの
です。
そして、何も入れなくても、最後に伝える
言葉があります。
「ありがとう」その一言こそ、何より大切な
最後の贈りものなのかもしれません。
ただし、棺の中には何でも入れられるわけ
ではありません。
金属やガラス、燃えにくいものなど、火葬の
際に入れることができないものもあります。
地域や火葬場によって決まりが異なります
ので、事前に葬儀社へ確認していただくことが
大切です。
私たちがお手伝いするお葬式の中でも、棺を
囲んで過ごす最後の時間は、とても大切な時間
です。
もう一度お顔を見て、お花を手向け、思い出の
品を添える。
そして、心の中に残っている言葉を伝えて
ください。
高価なものでなくていいのです。
大切なのは、何を入れたかではなく、どんな
気持ちで送り出したか。
最後に持たせてあげたいもの。
それはきっと、家族からの「ありがとう」と
いう想いなのだと思います。