小学生の頃、先生がこんなことを言われたこと
があります。
「ここにいるクラスメイト全員が、卒業した
あと、もう一度全員で集まることは、おそらく
ありません。
だから友達を大切にしなさい。」
子どもだった私は、その言葉の意味をそれほど
深く考えていませんでした。
毎日学校へ行けば、いつもの友達がいる。
「また明日。」
そう言って別れて、次の日には当たり前の
ように顔を合わせる。
そんな毎日が、ずっと続くような気がしていた
のだと思います。
あれから、もう50年近く。
何度か同窓会もありました。
懐かしい顔に会い、昔話をして、笑い合った
こともあります。
でも先生が言われた通り、クラス全員が揃った
ことは一度もありませんでした。
卒業してから一度も会っていない友達も
います。
今、どこで何をしているのだろう。
元気で暮らしているだろうか。
ふと、そんなことを思います。
そしてこの歳になって、ようやく先生の言葉の
意味が分かるような気がします。
人生には、「これが最後になる」と知らずに
過ごしている時間がたくさんあります。
最後に一緒に歩いた帰り道。
最後に座った教室。
最後に交わした何気ない会話。
その時は誰も、それが最後だとは思って
いません。
葬儀の仕事をしていると、同じことを感じる
ことがあります。
「また会えると思っていた。」
「もっと話しておけばよかった。」
「ありがとうと言えばよかった。」
そんな言葉を何度も耳にします。
人と人が出会い、同じ時間を一緒に過ごせる
こと。
それは当たり前のようでいて、本当はとても
尊いことなのだと思います。
50年近く経った今でも、あの日の先生の言葉を
覚えています。
「友達を大切にしなさい。」
あの頃より今のほうが、ずっと心に響きます。
今日会える人を大切にする。
伝えたい「ありがとう」は、伝えられるうちに
伝える。
また明日会える保証はなくても、今日一緒に
過ごした時間は、いつまでも心の中に残り
ます。
さよならではなく、ありがとう。
そして、また会いましょう。

感謝。