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―八月十五日、平和を受け継ぐ―

この写真(AIで作成したイメージ(水彩画))

に写っているのは、陸軍の特別 

攻撃隊、「第七十二振武隊」に所属した

五人の若い飛行兵です。

写真が撮影されたのは、昭和二十年五月

二十六日。

場所は鹿児島県にあった、万世飛行場です。

以前は知覧で撮影された写真と紹介される 

こともありましたが、現在は万世基地で 

撮影されたものとされています。

基地で飼われていた子犬を、犬好きだった 

荒木伍長が抱き上げ、仲間たちが集まった

一瞬を、報道カメラマンが撮影しました。

掲載した写真は、その有名な写真をAIで

絵に変えたものです。

写真の中の少年たちは、実に穏やかに笑って

います。

子犬を見つめるまなざしは、どこにでもいる

十七歳、十八歳の若者と変わりません。

この写真だけを見れば、明日も明後日も

仲間と笑い、家族のもとへ帰っていくように

思えてしまいます。

しかし、五人は写真撮影の翌日、五月二十七日

に万世基地を出撃し、帰ることはありません 

でした。 

戦死後、全員が少尉に進級しています。

出撃前の彼らが、本当は何を思っていたのか。

写真だけで、その胸の内を決めつけることは 

できません。

勇ましい言葉だけでは語れない思いがあった

はずです。

故郷に残した両親。 

兄弟や友人。

もう一度食べたかった料理。

歩きたかった故郷の道。

そして、もっと生きたかったという人間として

当然の願いも、心の奥にあったのではない

でしょうか。

十七歳といえば、現代なら高校生ほどの年齢 

です。

将来の夢を語り、恋をし、失敗を重ねながら、

少しずつ大人になっていく時です。

その年代の少年たちが、自らの命と引き換えに

する任務を背負わされたという事実を、

私たちは忘れてはなりません。

戦争を振り返ることは、誰かを美化すること

でも、誰かだけを責めることでもありません。

日本軍によって命を奪われたアジアや各地の

人々。

空襲や原爆、地上戦によって犠牲となった

市民。

戦場へ送られ、故郷へ帰れなかった兵士たち。

敵味方や国籍を問わず、戦争によって奪われた

一人ひとりの命に思いを寄せ、同じ悲劇を

繰り返さないために歴史と向き合うことだと

思います。

八月十五日は、一般に「終戦記念日」と 

呼ばれています。

政府による正式な名称は、「戦没者を追悼し

平和を祈念する日」です。

昭和五十七年の閣議決定により毎年八月十五日

と定められ、正午には全国戦没者追悼式で

一分間の黙とうが行われます。 

先の大戦における戦没者は、約三百十万人と

されています。

終戦から八十一年。

戦争を直接体験された方々は、年々少なく 

なっています。

だからこそ、残された写真や手紙、証言に耳を

傾け、次の世代へ伝えていくことが今を生きる

私たちの役目です。

子犬を囲んで笑う五人は、初めから歴史上の

人物だった―八月十五日、平和を受け継ぐ―わけ

ではありません。

家族に愛され、友人と笑い合い、未来を持って

いた少年たちです。

その未来を奪ったものが、戦争でした。

平和とは、何もしなくても永遠に続くものでは

ありません。

人の命を大切にすること。

違いを憎しみに変えないこと。 

力による解決を当然としないこと。

私たち一人ひとりが、日々の暮らしの中で

守り、次の世代へ手渡していくものです。

八月十五日。

亡くなられたすべての方々へ、心より哀悼の

誠を捧げます。

そして、写真の少年たちが生きることの

できなかった未来を、私たちは生きていると

いうことを、決して忘れてはなりません。

戦争のない日常が、これからも続きます 

ように。

二度と若者たちが、命を捨てることを求め 

られる時代になりませんように。

平和への祈りを、言葉だけで終わらせず、

未来へつないでまいりましょう。

感謝。


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