仏教には「六道輪廻」という教えがあります。
六道とは、私たちが生まれ変わる六つの世界を
表しています。
「地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上」
この六つの世界を、命あるものは繰り返し巡る
と考えられてきました。
これを「輪廻」といいます。
しかし六道は、死んだ後の世界だけを表して
いるとも限りません。
私たちの心の中にも、六道はあるのではないで
しょうか。
怒りや憎しみに苦しむときは「地獄」。
欲しい、もっと欲しいと、満たされない心は
「餓鬼」。
周囲が見えず、本能のままに行動してしまう
「畜生」。
人と比べ、争い、勝ち負けにこだわってしまう
「修羅」。
喜びも悲しみも経験しながら、人生について
考える
「人間」。
そして願いが叶い、幸せに満たされた状態を
「天上」といいます。
考えてみれば私たちは一日の中でも、この六つ
の世界を行き来しています。
腹を立てたと思えば、誰かの優しさに
救われる。
欲に心を奪われたと思えば、今ある幸せに
気づくこともあります。
人の心とは、それほど移ろいやすいものなの
かもしれません。
そして六道の中で「人間」に生まれることは、
とても尊いことだと仏教では説かれています。
なぜなら人間には、「自分の生き方を見つめ
直す」ことができるからです。
人はいつか必ず死を迎えます。
ご葬儀という時間は、亡くなられた方を送る
だけでなく、残された私たち自身が
「私はどう生きていくのか」を考える時間でも
あります。
怒りも、欲も、争いも、いつまでも続くもの
ではありません。
命にも限りがあります。
だからこそ、誰かを大切にすること。
「ありがとう」と伝えること。
そして今日という一日を大切に生きること。
六道輪廻という教えは、遠い死後の世界の
話ではなく、「今をどう生きるのか」を私たち
に問いかけている教えなのかもしれません。

感謝。