トワを立ち上げた当時、私たちにはご葬儀の
経験こそありましたが、会社経営に関しては、
まったくの素人でした。
経営について専門的に学んだこともなく、
経営戦略や事業計画などという立派なものが
あったわけでもありません。
ただ、漠然と思い描いていたことが一つあり
ました。
目の前のお客様に、自分のことのように寄り添
い、誠心誠意、親切に対応していけば、きっと
何とかなるだろう。
今思えば、何とも抽象的で、危なっかしい考え
方だったと思います。
当時のトワには事務員もおらず、経理も素人。
帳簿をつけることさえ初めての経験でした。
何から何まで手探りの毎日。
本当にこの先やっていけるのだろうか。
そんな不安を抱えながらの、まさに前途多難な
船出でした。
しかし、そんな私たちにも、全員で決めていた
ことが一つだけありました。
それは、
「真面目にやろう」
という、実にシンプルなことでした。
どんなことがあっても、最後まで真面目に、
誠実に取り組む。
目先の損得で物事を判断しない。
自分たちにできることを、一生懸命やり抜く。
それでも駄目だったなら、諦めもつく。
しかし、最初から手を抜いたり、いい加減な
仕事をして失敗したのでは、後悔しか残ら
ない。
だから、とにかく真面目にやろう。
それが、私たちの出した答えでした。
あれから長い年月が流れました。
振り返れば、決して順風満帆だったわけでは
ありません。
思うようにいかないこともあれば、悔しい思い
をしたことも数え切れないほどあります。
それでも、あの日に決めた「真面目にやろう」
という約束だけは、今も変わっていません。
会社を経営していると、どうしても売上や
利益、件数といった数字に目が向きます。
もちろん、会社を存続させるためには数字も
大切です。
しかし、数字を追いかけることが、私たちの
仕事の目的ではありません。
ご葬儀を依頼されるお客様は、大切な方との
別れという、取り返しのつかない現実に直面
されています。
私たちにとっては日々の仕事であっても、
お客様にとっては、人生で二度とないかも
しれない大切な時間です。
そのことを決して忘れてはならないと思って
います。
悲しみそのものを消すことは、私たちには
できません。
亡くなられた方を取り戻すこともできません。
それでも、不安を一つ取り除くことはできる
かもしれません。
心配事を一つ減らすことはできるかもしれ
ません。
そして、ほんの少しでも、心穏やかにお別れを
していただくお手伝いはできるはずです。
目の前にいる、たった一人のお客様の辛い現実
を、少しでも良い方向へ変えていくこと。
私は、それこそが私たちの仕事の本質だと
考えています。
特別な経営理論を学んできたわけではあり
ません。
今でも経営の専門家などとは、とても言え
ません。
ただ、ひとつだけ確信していることがあり
ます。
真面目に、誠実に、目の前の人と向き合う。
その積み重ねが、いつしか信頼となり、会社を
支えてくれる。
結果は、後からついてくる。
創業当時、何も分からなかった私たちが
決めた、たった一つの約束。
「真面目にやろう」
これからも、この言葉を忘れることなく、
一件一件のご葬儀に向き合っていきたいと
思います。

感謝。