「家族だけで静かに送りたい」
そんな想いから、最近では「家族葬」や「会葬
辞退」を選ばれるご遺族が増えてきました。
しかし、実際にはご近所や親戚、古くからの
知人などから、「お別れくらいさせてほしかった」
「なぜ教えてくれなかったの?」
という声をいただくことも少なくありません。
そこで今回は、誰も傷つけず、最も穏やかに
お断りする方法についてお伝えしたいと思います。
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■ 「故人の希望でした」と伝えることで、角が
立たない
会葬を辞退する際、一番トラブルになりにくい
理由は、ずばり
「故人の生前の強い希望により、家族のみで
執り行いました」
という伝え方です。
誰しも亡くなった方の意志には、逆らい
にくいもの。
たとえ寂しさを感じたとしても、「それなら
仕方ないね」と納得してくださる方が多いです。
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■ 本当は遺族の判断でも構わない
実際には、「高齢の家族に負担をかけたくない」
「感染症対策」「遠方から呼ぶのが大変」と
いった遺族の事情で決めることも多いでしょう。
ですが、それをそのまま伝えると、
「それでも駆けつけたのに…」
と気を悪くされるケースもあります。
だからこそ、「故人の意思」という形にすれば、
角が立たず、気まずさを避けられるのです。
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■ 事後報告の方法にも気配りを
お知らせを出すタイミングとしては、葬儀後に
「ご報告状」として下記のような文面が一般的
です。
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<文例>
拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び
申し上げます。
さて、○月○日、○○(故人の名前)が永眠
いたしました。
生前中に賜りましたご厚情に深く感謝申し上げ
ます。
なお、故人の強い意向により、近親者のみにて
葬儀を執り行いましたことをここにご報告
申し上げます。
なにとぞご理解賜りますようお願い申し上げます。
敬具
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■ 対面でも「お詫びと感謝」の気持ちを忘れずに
あとから顔を合わせたご近所の方や知人には、
こう伝えましょう。
「本当は皆さんにも見送っていただきたかった
のですが…、故人が“家族だけで”と強く希望して
おりまして…」
そして、
「お気持ち、本当にありがたく思っています。
今後ともよろしくお願いいたします」
と一言添えると、相手の心もやわらぎます。
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■ まとめ:主役はあくまで“故人”──それを
盾ではなく、温かな言葉に誰かを「断る」という
行為は、とても難しいものです。
しかし「故人の希望」という言葉は、その断りを
やさしく包むクッションになります。
たとえそれがご遺族の判断であったとしても、
「私たちは、故人の気持ちを尊重した形で送り
ました」という姿勢があれば、十分に伝わる
はずです。
大切なのは「断る」ことではなく、「思いやる」
こと。
静かな見送りでも、心はきっと通じ合っています。

。感謝