少し前まで、葬儀といえばご近所や会社の人が
こぞって駆けつけ、受付や配膳、駐車場の整理まで
**“持ち回り”で手伝うのが当たり前**でした。
「人付き合い」と「助け合い」は、地域社会の
中にしっかりと根づいていたのです。
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■ でも、時代は変わりました
現在では、家族葬や直葬が主流です。
身内だけで静かに見送る葬儀が増え、
ご近所の人が訃報を知るのは、葬儀が終わって
からというケースも珍しくありません。
一見、さみしくも感じられるこの風景。
でも、そこには実は**深い“配慮”と“合理性”**
があるのです。
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■ お世話になる=「返さなければならない」と
いう現実
ご近所の方に受付を頼む。
駐車場係をお願いする。
通夜ぶるまいの配膳を手伝ってもらう。
こうした好意に甘えることは、確かにありがたい
ことです。
でもその反面――
「今度は、あちらの家に何かあったときに、必ず
お返しをしないといけない」
という**“見えない義務”**が生まれてしまうのも
また事実です。
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■ 今は「子世代」が遠方に住む時代
かつては「親も子も孫も同じ町内」という暮らし
が一般的でした。
しかし今は、子どもたちは東京・大阪・福岡など
都市部へ就職・結婚で移り住み、
**“地元に残る人がいない”**というケースが
増えています。
自分が元気なうちは返礼も可能ですが、
「自分の死後、子どもがご近所付き合いまで
引き継げるか?」
と考えると、初めから誰の世話にもならない方が、
むしろ誠実なのです。
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■ 家族葬とは、“孤立”ではなく、“配慮”である
家族葬は、「もう関わりたくない」「煩わしい
人付き合いは不要」という冷たい選択ではあり
ません。
「迷惑をかけたくない」
「残された家族に負担をかけたくない」
「ご近所の方に気を遣わせたくない」
そんなあたたかい思いやりが、家族葬の背景には
あるのです。
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■ トワ家族葬ホール岩国が大切にしていること
私たちトワでは、ご近所づきあいがある場合も、
「その関係性にあわせて、自然に、無理なく」
対応できるよう配慮しています。
•ご近所には訃報を伝えるだけで参列は遠慮
いただく
•手伝いの申し出には「お気持ちだけで」と丁寧に
辞退する
•通夜ぶるまいは用意せず、後日お礼だけ伝える
葬儀とは、“人を集める行事”ではなく、
**“故人を大切に思う人が、心を寄せる時間”**で
あるべきだと、私たちは考えています。
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■ 最後に
「人付き合いがなくなって、寂しい時代だね」と
言う人もいます。
でも、誰にも迷惑をかけず、静かに送る選択は、
むしろ今を生きる私たちにとっての**“新しい
思いやり”**なのかもしれません。
時代が変われば、送られ方も変わる。
大切なのは、形ではなく、心です。

感謝。