Skip to main content

ブログ

ホーム ブログ 「仏様の背中」

「仏様の背中」

あの日のことを、今でも忘れられません。

まだ若い方が自ら命を絶たれ、ご両親が 

地元から駆けつけられました。

かける言葉が見つからず、ただ静かに寄り添う

ことしかできませんでした。

火葬だけを岩国で済ませ、後日地元で骨葬を

されるとのこと。

会館には深い悲しみと静けさが漂い、時間が

止まったようでした。



その頃、別の式場では通夜を控えたご葬家が

おられ、僧侶が枕経を唱えておられました。

その木魚の音が、静まり返った自死で 

お亡くなりになった方の式場まで届きました。

その音を耳にされたご両親が、私に静かにこう

言われました。

「あの僧侶に、どうか息子のために10分だけ

でもいい、

お経を唱えてもらえんじゃろうか…」



私はすぐに僧侶に事情をお伝えしました。 

すると僧侶は、何も迷うことなく、

まるで全てを悟られたような表情でこう言われ

ました。

「お勤めさせていただきます。」

宗派も違い、何の縁もゆかりもないにも

かかわらず、その僧侶は故人のために心を

込めてお経を唱えられました。

さらに火葬場までお供され、お布施も一切

受け取られませんでした。



あの日、悲しみに包まれたご両親の心が、 

ほんの少しだけ救われたように見えました。

私もまた、人の優しさと慈悲に胸を打たれ、

深く頭を下げました。

帰って行かれるその僧侶の背中を見送ったとき、

私は確かに、そこに仏様の姿を見ました。



私たちは、日々多くのご遺族と向き合います。 

悲しみの中で人が人を思う心、そして見えない

ところで生まれる小さな奇跡。

あの僧侶の背中は、今も私の心の中で静かに

光り続けています。

感謝。


ご葬儀や費用のこと、
お気軽にお問い合わせください
急を要する場合や、
些細な質問でも構いません。
先ずは、ご連絡ください。