鎌倉時代、日本には戦乱や飢饉、疫病が
相次ぎ、多くの人々が不安を抱えながら
暮らしていました。
そんな時代に生きたのが、浄土真宗の宗祖・
親鸞聖人です。
親鸞聖人は1173年に京都で生まれ、9歳で
比叡山に入り、20年近く厳しい修行を続け
ました。
しかし、自らの力だけで悟りに至ることの
難しさに悩み続けます。
その後、法然上人と出会い、阿弥陀如来の
本願を信じる「念仏」の教えに深く共感し
ました。
1207年には、法然門下への弾圧により
越後(現在の新潟県)へ流罪となります。
親鸞聖人はこの出来事をきっかけに、
一般の人々と同じ生活を送り、
妻・恵信尼(えしんに)と家庭を築きました。
当時としては、僧侶が家庭を持つことは
極めて異例のことでした。
その後、関東で多くの人々に教えを伝え、
晩年は京都で主著
『教行信証(きょうぎょうしんしょう)』
を著しました。
親鸞聖人が伝えたかったことは、
「善人だけが救われる」のではなく、
自分の弱さや限界を知る人も、
阿弥陀如来の本願によって救われる
という教えでした。
有名な「善人なおもて往生をとぐ、
いわんや悪人をや」という言葉も、
悪いことをしてもよいという意味では
ありません。
自分の力だけでは救われない人こそ、
阿弥陀如来の慈悲に身を委ねることが
大切である、という教えを表しています。
この言葉は、親鸞聖人の主著ではなく、
弟子の唯円がまとめた
『歎異抄(たんにしょう)』に記されてい
ます。
親鸞聖人は90年という当時としては
非常に長い生涯を送りました。
今から800年以上が経った現在でも、
その教えは多くの人々の心の支えと
なっています。
人は誰でも迷い、悩み、失敗をします。
だからこそ、自分や他者を責めるのではなく、
支え合い、感謝して生きていく。
親鸞聖人の教えは、現代を生きる
私たちにも大切なことを
静かに語りかけてくれているように思います。

感謝。