大切な人を亡くしたあと、ふとした瞬間に
その人のことを思い出すことがあります。
一緒に歩いた道。
いつも座っていた場所。
好きだった食べ物。
何気なく交わした会話。
そして、今でも耳に残っている懐かしい声。
姿を見ることはできなくなっても、不思議な
ほど鮮明に思い出せることがあります。
「あの人なら、こう言うだろうな」
そんなふうに思うこともあるのではない
でしょうか。
葬儀のお手伝いをしていますと、ご家族から
故人様についていろいろなお話を伺います。
「いつも笑っている人でした」
「頑固な人でした」
「家族のことばかり考える人でした」
「口数は少なかったけれど、本当はとても
優しい人でした」
そうしたお話を伺っていると、その方のお姿が
少しずつ見えてくるような気がします。
人は亡くなれば、いつか忘れられてしまう
のでしょうか。
私は、そうではないと思います。
その人からもらった優しさや、教えてもらった
こと。
一緒に笑ったこと。
時には喧嘩をしたことさえも、大切な思い出に
なっていきます。
そして、その思い出は残された人の人生の中で
生き続けていきます。
お葬式のお別れの場面で、「ありがとう」
「またね」そう声を掛けられるご家族を
何度も見てきました。
「またね」という言葉には、もう二度と
会えないという意味だけではなく、いつか
また会える。
そんな願いが込められているように私は感じ
ます。
大切な人を忘れる必要はありません。
悲しみがなくならなくても、思い出と一緒に
少しずつ歩いていけばいいのだと思います。
季節が巡り、年月が過ぎても、懐かしい声や
笑顔は心の中から消えることはありません。
今日もどこかで、「あの人、どうして
いるかな」そう思い出してもらえること。
それもまた、人が生きた証なのではない
でしょうか。

感謝。