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人生の最期に贈られた「ありがとう」

以前、100歳近い方のお葬儀をお手伝いさせて

いただいたことがあります。

その方は、生涯一度も病院のお世話になること

なく、人生の最期を迎えられました。

お一人暮らしをされていましたが、亡くなら

れる前日まで、ご自身で炊事や洗濯などの家事

をこなし、誰の手も借りることなく、日々の

生活を送られていたそうです。

そして、最期はご自宅のお布団の中で、まるで

静かに眠っているかのような、穏やかなお顔で

旅立たれました。

突然のお別れに、ご親族の皆様は驚き、動揺

されていました。

しかし、故人様のお顔をご覧になりながら、

皆様が口をそろえておっしゃっていたのは、

「ありがとう」という感謝の言葉でした。

「本当にありがとう」

「よく頑張ったね」

「お疲れ様でした」

そして、あるご親族の方が、こうおっしゃい

ました。

「誰にも介護されず、苦しむこともなく、

100歳近くまで生きて、本当に最高の死に方

だったね」

その言葉が、今でも心に残っています。

人は誰もが、いつか必ず人生の最期を迎え

ます。

しかし、その迎え方を自分で選ぶことはでき

ません。

長い闘病生活の末に旅立たれる方も

いらっしゃれば、突然の事故や病気で、

大切な人とのお別れを迎える方もいらっしゃい

ます。

どのような最期であっても、その方が歩んで

こられた人生の尊さに変わりはありません。

ただ、100歳近くまで自分の力で生活され、

最期まで住み慣れた我が家で過ごされた故人様

のお姿に、私は人間の生き方について、深く

考えさせられました。

長生きすることも素晴らしいことですが、

それ以上に大切なのは、どのように生きてきた

のかということではないでしょうか。

そして、人生の最期に、残された人たちから

「ありがとう」と言っていただけることは、

何より幸せなことなのかもしれません。

もちろん、大切な人とのお別れに、悲しみが

ないわけではありません。

どれほど長生きされても、どれほど穏やかな

最期であっても、お別れは寂しいものです。

それでも、悲しみの中に感謝の気持ちが

あふれるご葬儀には、言葉では表せない

温かさがあります。

あの日、ご親族の皆様が故人様に贈られた、

たくさんの「ありがとう」。

それは、約100年という長い人生を懸命に

生き抜かれた故人様への、何よりの贈り物

だったと思います。

本当に、本当にお疲れ様でした。

そして、ありがとうございました。

感謝。


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