魚は「尾」で数えます。
鳥は「羽」。
動物は「頭」。
では、人は何で残るのでしょうか。
人は最後に「名前」が残るのだと思います。
人には、それぞれ名前があります。
その名前を呼んでくれた人がいます。
生まれたとき、両親が願いを込めてつけて
くれた名前。
学校で呼ばれた名前。
職場で呼ばれた名前。
夫婦になって呼ばれた名前。
父になり、母になり、「お父さん」
「お母さん」と呼ばれるようになった人も
います。
そして人生の最期を迎えたあとも、その人は
数字にはなりません。
「あの人」でもありません。
家族にとっては、ちゃんと名前のある、
たった一人の大切な人です。
葬儀の場では、故人のお名前を何度もお呼び
します。
遺影を見ながら、「○○さんらしい写真です
ね」「○○さんは、こんな方でした」
そんなふうに、名前と一緒に思い出が語られて
いきます。
一つの名前の中には、何十年という人生が
詰まっています。
笑ったこと。
泣いたこと。
苦労したこと。
誰かを愛したこと。
誰かに愛されたこと。
働いたこと。
家族を守ったこと。
そして、何気ない毎日の中で誰かと過ごした
時間。
人は亡くなれば、姿を見ることはできなくなり
ます。
声を聞くこともできなくなります。
けれど、名前は残ります。
「あのとき、○○さんが言ってくれたな」
「○○さんなら、きっとこう言うだろうな」
「○○さんに会いたいな」
そうやって、名前と一緒に思い出は生き続け
ます。
魚は尾。
鳥は羽。
動物は頭。
そして人は、最後に名前が残る。
だからこそ、私たちは一人ひとりのお名前を
大切にしたいと思っています。
その名前の向こうにある、たった一つの人生を
大切にしたい。
葬儀とは、一人の人生を数字として見送ること
ではありません。
その人の名前を呼び、その人の人生を思い、
心から「ありがとう」を伝える時間なのだと
思います。
名前が語られる限り、その人は、これからも
誰かの心の中で生き続けます。
さよならではなく、ありがとう。
そして、また会いましょう。

感謝。