ある人がマザー・テレサに尋ねたと伝えられて
います。
「世界が平和になるために、私は何をすれば
良いのでしょうか?」
その問いに、彼女は、「帰って家族を愛し
なさい」
と答えたといいます。
とても短い言葉ですが、私はこの言葉には
大切な意味が込められているように思います。
私たちは「世界平和」と聞くと、戦争をなくす
ことや、貧困をなくすことなど、とても大きな
ことを考えてしまいます。
もちろん、それも大切なことです。
しかし、一人の人間にできることには限りが
あります。
遠く離れた国の平和を願いながら、すぐそばに
いる家族に優しい言葉をかけられなかったり、
大切な人の寂しさに気づかなかったりすること
もあります。
世界を変えることは簡単ではありません。
でも、今日、家族に優しくすることはでき
ます。
困っている人に手を差し伸べることもでき
ます。
「ありがとう」と伝えることも、「大丈夫?」
と声をかけることも、私たちにはできます。
そんな小さな優しさが家庭を穏やかにし、
その優しさが地域へ広がり、やがて社会へと
広がっていく。
もしかすると、世界平和というものは、そんな
小さなところから始まるのかもしれません。
葬儀のお手伝いをしていると、もっと話をして
おけば良かった。
もっと優しくしてあげれば良かった。
ありがとうと伝えておけば良かった。
そんな言葉を耳にすることがあります。
人はいつか必ず別れます。
だからこそ、「いつか」ではなく「今日」。
大切な人がそばにいるうちに、言葉を交わし、
笑い合い、感謝を伝える。
世界中の人を幸せにすることはできなくても、
目の前にいる一人を大切にすることはでき
ます。
「帰って家族を愛しなさい」
この言葉が本当に伝えようとしたことは、
案外そんな当たり前のことなのかもしれ
ません。
世界の平和は、私たちのいちばん近くにいる
大切な人を愛することから始まるのではないで
しょうか。

感謝。